【問題ケース】
親の逝去後、実家が空き家に。
土地・建物の所有権は父が亡くなる前のまま。
母も今年亡くなり、相続人は娘3人。
そのうち1人が解体に反対しており、解体は進まない状況。
今後、どうすべきか?
実家の解体に関する問題は、所有権と相続の状況が大きく関わるため、法的な視点から整理が必要です。
以下にポイントを解説します。
1. 現状の所有権について
お父様が亡くなられた際、土地と建物の所有権は法定相続人に分割されました。
ただし、相続登記を済ませていない場合、正式な所有者は「お父様」のままとなり、法的には相続人全員が共同で所有権を持つ「共有状態」とみなされます。
共有状態のため、建物の解体や売却といった重要な決定は、相続人全員の同意が必要です。
2. 解体を反対する相続人がいる場合の対応策
(1) 話し合いで解決を目指す
まずは解体に反対している相続人と話し合い、解体の理由や必要性を丁寧に説明することが大切です。
例えば、以下の点を共有すると理解を得られる可能性があります
- 空き家を放置することで発生するリスク(資産価値の低下、治安の悪化、固定資産税の負担)。
- 解体後に土地を売却または活用することで得られるメリット。
(2) 調停や裁判を利用する
話し合いが難航した場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
この手続きでは、中立的な立場の調停委員が話し合いをサポートし、最終的に解体の可否を決定します。
もし調停でも解決しない場合は、裁判による解決が必要となります。
(3) 解体費用を負担する提案を行う
解体に反対する理由が金銭面での負担にある場合、解体費用を他の相続人で分担する提案を行うことで、合意に至ることがあります。
3. 現状のままだとどうなるか
相続人全員の同意がない場合、実家の解体は進められません。
また、解体しないまま放置すると以下のリスクが伴います。
- 固定資産税の増加:空き家が「特定空き家等」と認定されると、固定資産税の特例が解除され、税額が6倍になる可能性があります。
- 管理責任の増大:建物が老朽化し、倒壊や害虫被害などのトラブルが発生した場合、相続人が責任を問われることがあります。
4. 専門家への相談を検討
相続に関する問題は法律や税金が複雑に絡むため、専門家に相談するのがスムーズな解決の近道です。
- 司法書士・弁護士:相続登記や遺産分割調停の手続きをサポート。
- 不動産会社:土地や建物の活用・売却案の提示。
- 解体業者:解体にかかる具体的な費用や手順の提案。
まとめ
現状のままでは、相続人全員の同意がなければ解体はできません。
しかし、話し合いや調停を通じて解決の道を探ることが可能です。
専門家の力を借りつつ、相続人間での円滑なコミュニケーションを心がけることが大切です。
もし解体の方向で具体的な提案をしたい場合や、福山市で解体業者をお探しでしたら、いつでもご相談ください!