近年、テレビやニュースでよく耳にする「アスベスト」。
解体やリフォームの際に問題となるこの素材について、多くの人が不安を感じているのではないでしょうか。
今回は、アスベストが何なのか、なぜ危険なのか、どのように対策すれば良いのかについて、分かりやすく解説します。
1. アスベストとは?
アスベストは、天然に産する鉱物繊維の総称です。
耐火性、断熱性に優れ、加工しやすいことから、かつては様々な建材に使用されていました。
しかし、1980年代以降、アスベストが原因で肺がんや中皮腫などの病気が発症することが明らかになり、規制が強化されました。
2. アスベストの種類
アスベストは、大きく6種類に分類されます。
- 蛇紋石族: 白石綿(クリソタイル)
- 角閃石族: 茶石綿(アモサイト)、青石綿(クロシドライト)、灰石綿(クロシドール)、透閃石綿(トレモライト)、角閃石綿(アンモサイト)
3. アスベストの健康被害
アスベストを吸い込むと、肺や胸膜に蓄積され、以下の病気を引き起こす可能性があります。
- 石綿肺: 肺の線維化を伴う慢性的な呼吸器疾患
- 中皮腫: 胸膜や腹膜などの漿膜に発生する悪性腫瘍
- 肺がん: 肺の組織に発生する悪性腫瘍
これらの病気は、潜伏期間が長く、発症してから治療を始めると進行が早いため、早期発見が重要です。
4. アスベストはどこで使われている?
アスベストは、1950年代から1990年代にかけて、様々な建材に使用されていました。
主な用途は以下の通りです。
- 耐火被覆材: スプレーアスベスト、吹付けアスベスト
- 断熱材: ロックウール、アスベストボード
- 床材: ビニルアスベスト床材
- 屋根材: スレート
- その他: 配管保温材、ブレーキライニング、ガスケット
5. アスベストの調査と対策
2006年以降に建てられた建物にはアスベストが含まれていませんが、2006年以前に建てられた建物には使用されている可能性があります。
2006年以前に建てられた建物で解体やリフォームを検討している場合は、アスベスト調査を行うことが義務付けられています。
アスベスト調査は、専門業者が建物内部を調査し、アスベストが含まれている建材を特定するものです。
6. アスベスト調査の流れ
- 調査会社に依頼する
- 調査員が建物内部を調査する
- 調査結果報告書を作成する
7. 調査結果に基づいた対応
アスベスト調査の結果、アスベストが含まれている建材が確認された場合は、適切な処置を行う必要があります。
処置方法は、アスベストの種類や量、状態によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります。
- 封じ込め: アスベストを含む建材を密閉して、飛散を抑制する
- 除去: アスベストを含む建材を撤去する
8. アスベストに関する情報
アスベストに関する情報は、以下の機関で入手できます。
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/dl/tp0219-10-02p.pdf
- 国土交通省: https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/fukusanbutsu/asbest/medemiruasbest.pdf
- 一般社団法人 石綿処理協会: http://www.jati.or.jp/guide/index.html
9. まとめ
アスベストは、かつて様々な建材に使用されていた素材ですが、健康被害のリスクが指摘され、現在は使用が禁止されています。
2006年以前に建てられた建物で解体やリフォームを検討している場合は、必ずアスベスト調査を行い、適切な処置を行うようにしましょう。
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