福山市で家屋解体する前に知っておくべき税金（固定資産税）の基礎知識

2025年11月3日

「福山市で家屋解体を検討しているけど、何から手を付けていいか分からない」「解体後の固定資産税はどうなるの？」

解体工事は人生で何度も経験することではないため、不安や疑問が多いかと思います。特に、工事費用のことだけでなく、解体後の税金、なかでも固定資産税への影響は見落としがちですが、非常に重要です。

知らずに解体を進めてしまうと、翌年度から税金の負担が大きく増えてしまう可能性があるのです。

この記事では、福山市で家屋解体を検討されている方へ向けて、解体と固定資産税の切っても切れない関係について、その基礎知識から注意点、具体的な手続きまでを分かりやすく解説します。

賢く解体工事を進めるために、ぜひ最後までお読みください。

1. 固定資産税とは？解体との関係を理解する

固定資産税とは、土地、家屋、償却資産（事業用の機械など）といった固定資産を所有している人に対して、その固定資産が所在する市町村（福山市の場合は福山市）が課す地方税です。

毎年1月1日（賦課期日）時点の所有者に対して課税され、その年の税額が決定します。

家屋が建っている土地は、「住宅用地」とみなされます。この住宅用地には、特例として固定資産税の軽減措置が適用されています。この措置が、解体工事を検討する上で最も重要なポイントとなります。

住宅用地の軽減特例とは、居住用の家屋が建っている土地の固定資産税を大幅に減額する制度です。

例えば、土地の評価額が1,200万円だった場合、小規模住宅用地であれば、税額の計算に使われる課税標準額は200万円になります。これは非常に大きな優遇措置です。

この特例は、「住宅が建っていること」が適用条件です。

家屋を解体し、更地にした場合、その土地は住宅用地ではなくなり、軽減特例が適用されなくなります。

つまり、家屋解体後の翌年度から、土地の固定資産税が最大で6倍に跳ね上がってしまう可能性があるのです。

前述の通り、固定資産税は賦課期日である1月1日時点の状況で判断されます。

例えば、2025年12月に解体工事が完了し、2026年1月1日時点で更地になっていたとします。この場合、2026年度から土地の固定資産税は大幅に上がります。

一方で、2026年1月2日以降に解体工事が完了した場合、2026年度の税金は、前年同様に軽減措置が適用されたままとなります。

1月1日をまたぐ解体工事は、税金対策上、非常にデリケートです。

解体後、すぐに新しい家を建てる予定がある場合は、「建て替え特例（正確には、住宅用地の認定を継続するための措置）」が適用できる可能性があります。

これは、既存の家屋を取り壊し、翌年の1月1日までに新築工事に着手し、翌々年の1月1日までに完成する見込みであれば、更地期間中も土地を住宅用地とみなす特例です。

福山市の固定資産税課へ事前に相談し、工事計画書などを提出して適用条件を満たすことを確認することが重要です。

解体後、土地の活用方法が決まっていない、または利用予定がない場合は、売却も選択肢の一つです。

売却を検討する場合も、1月1日を境にした解体と売却のタイミングが税金に影響します。不動産会社と綿密に連携を取り、スケジュールを検討しましょう。

すぐに新築予定がない場合でも、土地を更地のままにしておくと税金が高くなります。

短期的にでも、駐車場などの収益を生む形で土地を活用することで、固定資産税の増加分を補ったり、土地を有効活用することができます。ただし、駐車場などの非住宅用地として利用した場合、軽減措置は受けられません。

家屋解体が完了したら、税金の手続きとは別に、法務局へ「建物滅失登記（たてものめっしつとうき）」を申請する必要があります。

建物滅失登記とは、解体した建物がこの世から無くなったことを、公の記録である登記簿から抹消する手続きです。

この登記は、解体工事完了後1ヶ月以内に行うことが、不動産登記法で義務付けられています。

過料（罰金）の可能性：義務違反となるため、10万円以下の過料に処される可能性があります。
固定資産税の誤課税：福山市役所は、法務局の登記情報を基に固定資産税を課税します。滅失登記をしないと、建物がないにもかかわらず、いつまでも建物と土地の両方に固定資産税が課税され続ける可能性があります。
土地の売却ができない：建物が登記簿に残ったままだと、土地の売却や新築の建築（ローンを組む際の抵当権設定）などがスムーズにできません。